/* Template Name: インタビュー */ 株式会社バックテック 福谷直人氏インタビュー|起業とは世の中をよくするためのチャレンジ | 京都大学技術イノベーション 事業化コース
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受講生の声
株式会社バックテック 福谷直人氏インタビュー|起業とは世の中をよくするためのチャレンジ

今回は、実際に技術イノベーション事業化コースを経て、株式会社バックテックを立ち上げた福谷直人氏に協力していただきました。起業とは何かについて、本コースの参加や会社立ち上げの経験を基に話していただきました。

株式会社バックテックとは

2016年創業のヘルスケアITベンチャー企業で、本社は京都市下京区に位置する。「全人類が健康に活き活きと暮らし、社会に貢献できる世界をつくる」というミッションの基、個人の健康や健康経営のためのツールを研究・開発している。専門家に遠隔で健康相談などもできる肩こり・腰痛対策アプリ、「ポケットセラピスト」は代表的なサービスである。2021年2月には、ASICS Accelerator Program(アシックス・アクセラレーター・プログラム)にて、優秀賞とオーディエンス賞をダブル受賞した。

  1. 起業は世の中をよくするための手段
  2. 新規事業に不可欠な0からビジネスアイデアを生み出す力
  3. 今でも刺激になる志高き仲間たち
  4. 若者にチャレンジできる機会を与えたい

起業は世の中をよくするための手段

ー技術イノベーション事業化コースを知ってから、参加するまでの経緯を教えてください。

もともとは世の中を良くしたいと思っていて、治療に貢献するために研究活動を行っていました。しかし、国際論文を書いても助けたい人の声を聞くことができず、世の中の役に立っているのか分からなくて、ずっと違和感を感じていました。そんな時に、私の担当の准教授(現 教授)がこのコースを勧めてくださって、何かのきっかけになるかもしれないと思って参加しました。

ー技術イノベーション事業化コースに参加された時はどのような心持ちでしたか?

正直な話、起業したいとは全く思っていなかったですね。起業というのは世の中をよくするための手段だと思っているので、起業すること自体が目的という感じではありませんでした。ただ、私は基本的に、目の前にあるチャンスは全てつかむものだと思っています。だからこそ、社会をよくできるかもしれないこの機会を逃すわけにはいかないし、まずは参加しないとわからないと思って一歩踏み出しました。

新規事業に不可欠な0からビジネスアイデアを生み出す力

ー本コースの中で、最も印象に残っているものを教えてください。

デザインシンキングという考え方ですね。ビジネスアイデアを生み出すとなった時に、私はもともと自分たちができるものを中心に考える、プロダクトアウト思考にかなり寄っていました。これに対してデザインシンキングというのは製品を実際に使うユーザーを中心に考えるものなのですが、この中にエスノグラフィというものがあります。これはあるコミュニティーの中に実際に入り込んで、人間観察や自分が思う不便な点からビジネスアイデアを打ち立てるというものです。プロダクトアウトに寄っていた私にとってはとても斬新な方法でとても印象に残りました。

ーそのエスノグラフィは今でも役に立っているのでしょうか。

はい。実際に、今でも実践することがあります。ユーザーインタビューだけでは、全員が本当の想いを表現しきれないので、顧客の要望を製品に反映しきることには限界があります。その点、「行動」というのはその人の真の想いを表してくれるので、0からビジネスアイデアを出すときに非常に役に立ちます。今でも新しいサービスを作る時やピボットが必要な時は、デザインシンキングやエスノグラフィに立ち戻りますね。

アイデアを事業化するための仮説検証マインド

ー他に役に立っているものはありますか?

仮説検証マインドも役に立っています。いくら良いアイデアが出ても、PDCAを回すことができなければいいビジネスには繋がりません。ところが仮説の質が悪いと、ずっと低質なPDCAを回す羽目になってしまいます。だから、仮説検証をきっちり行えるようになったことは非常に価値あることだと思います。

ーその仮説検証マインドというのはどのようにして身についたのでしょうか?

コースの中での実践の場によって身についたと思います。例えば、チームメンバーと繰り返し検証を行った経験ですね。仮説の精度をいかに高めるのかということに重きを置いて、彼らとともに試行錯誤しました。もう1つは、コース内でプロトタイプをつくって顧客ヒアリングを行うという過程です。そこで、自分たちのアイデアを全面的に否定されて、仮説検証を繰り返さざるを得なかったという経験も良い実践の場でした。さらに、このコースをきっかけに参加したピッチコンテストの際には、そのアイデアがうまくいかなかったらどうするのかということを5回質問されました。仮説検証を繰り返して多くの代案を準備しておくことの重要性を感じましたね。

今でも刺激になる志高き仲間たち

ーコースの雰囲気はどのようなものでしたか?

私と同じように、起業という手段を通じて自分のビジョンを成し遂げようという人が多く、いい雰囲気でした。大企業から来られる方の場合、仕事の一環で来ている方だけではなく、新規事業の立ち上げに物凄く興味を持っている人もいました。私のチームにいたのは後者の方々だったので平日の夜や、休みの日など四六時中、新規事業と向き合っていましたね。そういう点で、皆良い意識の高さをもっていました。

ー当時プログラムで知り合った仲間とのつながりは現在も形で役に立っているのでしょうか?

はい、素晴らしい刺激を受けられる点は役に立っていると思います。例えば、このコースの仲間が創業した企業が、最近上場しました。その人をはじめ、イグジットを目指す仲間を見ていると、やはり「負けてたまるか」と思いますし、とても励みになりますね。

ーずばり、福谷さんの思われる技術イノベーション事業化コースの最大の良さとは何ですか?

色々な人と繋がることができるところだと思います。多くのネットワークを築けると、それだけ成長のための機会が増えます。私の場合、コースの先生方がピッチコンテストを勧めてくださって、出場したのがとても良い機会でした。あるコンテストで2位だった時、いつも厳しい教授が、「個人的には君たちが1番だった」と言ってくださって、それが妙に記憶に残ったんですよ。さらにコンテストに何回か出場する中で資本金や立ち上げ金が集まり、投資家からもそこそこ評判をいただいていたことも相まって起業に踏み切ることができました。コンテストに出場するという経験がなければ、絶対に起業していなかったと思います。

若者にチャレンジできる機会を与えたい

ー今後の展望をお聞かせください。

展望としては、自分の企業を上場させることが次の目標ですね。ですが、上場は通過点に過ぎません。上場後には、自分たちの資金を基に、若い人たちがチャレンジできる環境を作りたいです。私も色々なところから出資を受けて思うのは、資金というのはチャレンジできる数なんですよね。そして何度も何度も挑戦することで、成功確率は必然的に上がるので、自分がその挑戦の場を提供できるようになりたいと思うようになりました。そういう環境があってはじめて、世の中は良くなると信じています。

ー最後に起業を志す若者、そして技術イノベーション事業化コースに申し込むか迷っている人に一言メッセージをお願いします。

私は起業がすべてだとは思っていません。特に、社会人の方であればこのコースに参加する意味は、社内で0から新たなものを生み出すため方法を学び、その企業で実践するというところにもあると思います。そして、この0から新たなものを生み出すというのは、今後の日本のエコシステムにおいてとても重要なことだと私は考えてます。この場を通してチャレンジする人が増えることを願っています。皆さん頑張ってください。

PROFILE
福谷直人
株式会社バックテック 代表取締役社長
1989年愛知県生まれ。理学療法士として働く中で、健康を害することによる機会損失の大きさを感じ、研究活動で治療に貢献すべく京都大学大学院医学研究科にて博士号を取得。その後、医療の専門知識だけではなく最新のITを利用すればより多くの人の治療に貢献できると思い、株式会社バックテックを立ち上げた。

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